今月の「この一曲」Sam Cooke "A Change Is Gonna Come"
- kita798
- 2024年8月24日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年8月25日
■カーティス・メイフィールド、ニーナ・シモンと、R&B界の重鎮ブラック・ミュージシャンを取り上げてきましたが、今月はいよいよ サム・クック の登場です!
カーティス・メイフィールドは自作自演がメインで、ニーナ・シモンにも印象深い自作曲が数々あるのですが、彼女の場合はカヴァー曲でヒットしていますね。
サム・クックは、甘いマスクと美声で、黒人専用のゴスペル音楽から白人も聴くポピュラー・ミュージックの歌手に転身し成功を収めて、ナット・キング・コールと同様の歌い手というイメージが定着していますが、実は彼も自作自演のシンガーソングライターなのです。
その彼が晩年に作詞作曲した曲がこの "A Change Is Gonna Come" です。
■この曲にまつわる「もろもろ」については、以下のサイトに詳しく載っています。
■明るく御機嫌でシンプルな曲作りが信条のサム・クックでしたが、「この曲」は違います。荘厳なオーケストラの演奏に乗って穏やかに、でもマイナーな旋律で内省的に切々と歌われるのです。歌詞に注目してください。
It's been too hard living
But I'm afraid to die
Cause I don't know what's up there
Beyond the sky
生きて行くのは ほんと大変すぎるよ
でも、死ぬのは怖いんだ
だって、空の向こうに天国があるかどうかなんて
わからないんだもの
カーティス・メイフィールドは「People Get Ready」の中で、列車に乗るのに切符も荷物もいらない。ただ神を信じ感謝しさえすれば天国に行けるよ
と歌って、現世ではどんなに辛くても信仰に厚ければ天国に行けることを約束しました。
でも、サム・クックは違う。現世で幸せになりたいのです。
私たちがこの地上を平和と希望に満ちた場所にすることが
きっとできるに違いない そう歌っているのです。
I go to the movie
And I go downtown
Somebody keep telling me don't hang around
この部分は、シングル盤で発売された時にはカットされました。
ジム・クロウ法(Jim Crow laws)という人種隔離政策によって、南部では、黒人は公共施設、公立学校、病院、待合室、レストラン、ホテルなどで白人から隔離されてきました。だから「黒人がこのあたりをウロつくんじゃねえ!」と怒られたのです。
"A Change Is Gonna Come" は、こうした歌詞からキング牧師らが推し進めていた公民権運動の賛歌・応援歌(アンセム)となりました。でも、サム・クック自身は複雑な想いでいたようです。そして、1964年1月に吹き込まれたLPレコードの発売は3月でしたが、シングル盤が発売になる11日前の 1964年12月11日。サム・クックはロサンゼルスの安モーテルで女管理人に射殺されました。まだ33歳の若さで。
